技書博出展レポート〜初めての同人誌執筆で組込みRustの本を頒布しました〜

はじめに

記憶の新しいうちに、経緯などをまとめておきます。 自分用メモの側面が強いですが、今後初めて同人誌を頒布される方の参考になると嬉しいです。

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表紙

BOOTHで物理本と電子版を販売しているので、もし良ければお買い求め下さい。 (物理本は倉庫への搬送作業は完了しており、入荷待ちです)

sabizen.booth.pm

経緯

4月下旬、@hidemi_ishihara さんから出展のお誘いがありました。

組込みRustで書くことに決めて、今まで翻訳した組込みRustのドキュメントや、自分でこれまでやってきたことをクックブックとしてまとめることにしました。 クックブックにしたのは理由があり、急に執筆ができなくなっても読める内容になっている形式で執筆を進めたかったからです。 第二子の出産予定日が6月初旬だったため、この判断は良かったと思います。

性格的にギリギリにやるのは性分ではないこともあり、手持ちで書籍化できそうなものが、組込みRustかZephyrしかなかった、というのもありますが。 (Zephyrはそこまで思い入れないですからねぇ…)

執筆の進行

gitの履歴を見てみると、4/29にレポジトリを作っていました。 2週間後の5月中盤には、頒布した内容の半分は書けています。 この頃は、平日は1時間前後、休日は2〜3時間執筆していました。

ここまでは順調でしたが、まさかの第二子が3週間早く産まれてきてしまう、というハプニングに見舞われます! ガクッと執筆ペースが落ちて、残り半分の内容を埋めるのに6週間ほどかかっています。 この頃は、平日30分時間が取れれば良い方で、休日も2時間執筆できれば万々歳でした…。

7月に入り、組版作業に入ることを決めました。 この時点で、まだ書きたかった内容を全て切り捨てました。

初めてなので、どのくらい製本すれば良いかわかりませんでした。 とりあえずtwitterランドの住人に聞いたろ、ということで、聞いてみると、100イイねついたので、100冊刷ることにしました。

製本をどこに頼もうか調べていたところ、@hidemi_ishihara さんから、いつもポプルスさんで印刷している、という情報を得ました。 調べる時間がもったいないので、「じゃあ、そこで!」ということにして、早速アカウント作って見積もりと製本予約をしました。

ということで、組版作業を都合2週間ほどやっていました。 こんなに時間がかかったのは少し理由があって、mdbookというRust製のドキュメントビルダーで原稿を執筆していました。 mdbookには未完成品ですがEPUB形式で出力する機能があります。 mdbookから出力されたEPUB形式の原稿を、calibreという電子書籍エディタで編集していました。

慣れないCSSをいじったり、なぜかPDF出力するときにコードブロックの強調が消えてしまうバグと不毛な争いをしていました。 ということで、2週間前に組版を始めたのも、良い判断でした。

表紙作成もこの辺りの期間にやりました。 割と面倒で、時間かかりました。

7/12には入稿を済ませて、一段落つきました。

当日まで

不安しかねぇ!

というのも、初めての同人誌執筆(厳密にはD論という名の同人誌製本していますが)で会場直接搬入なので、実物が読めたものになっているかどうか、わかりません!

当初より今回の本は、組込みRustの知名度向上のため、価格を安くしてばら撒く作戦でした。 さらにmdbookは静的なページを作るツールなので、HTML版も合わせて配れば、安いし誰も怒らないでしょ!みたいな開き直りをすることで、心の安寧を保ちました。

その裏で、名刺を自炊したり、ダウンロードカード作ったりしていました。

後、twitterやブログで必死の宣伝活動していました。 どこかの記事で、技書博は集客1000人を目指している、と聞いて、来場者の10%もこんなニッチな本を買うわけがない!という焦りがありましたね。

値段は500円にしたので、とりあえず500円玉を30枚、お釣りとして用意しました。

当日

とにかく本のできを見て、一安心しました。 これなら500円でも怒られはしないでしょ!というクオリティになっていました。 少し上下左右の余白取りすぎた気がしますが、文字が詰まっている圧迫感も感じないので、悪くない気がします。 読者の皆様からの感想をお待ちしております。

@hidemi_ishihara さんに導かれるまま、見本誌にカバーかけたり、スペースの準備をしました。 カッターナイフも何度かお借りしました。カッターナイフ、意外と要るで?

午前中は、全然売れなかったです! 11時〜12時の間の売上は3冊でした。 内心すごい焦燥感に駆られていました。

イベント自体は、ゆっくりスペースを回れて、著者とお話しする余裕が十分にあるので、良い感じだなぁ、と思いました。 物が売れない焦燥感を除けば!

13時以降、徐々に売上が伸びていき、14時〜15時くらいの間に20冊近く販売できました。 最終的には、53冊頒布しました。

一般入場者が640名ほどとのことなので、このニッチなジャンルで53冊はだいぶ頑張った方ではないでしょうか笑 ゆっくり見れたり、話した結果ご購入下さった方もいらっしゃったので、購入する側としても満足度が高かったのかもしれません。

中には、「Rustはやったことないのだけど、気になるし、安いから買います(意訳)」という方や「Rust勉強してからまた来ます」、と言って下さった方も複数名いらっしゃったので、狙いは良かったと思います。

頒布時間終了後、40冊はBOOTHさんに入庫することにしました。 スーツケース持ってきておけば、持って帰って技術書典7で頒布できたなぁ、と思いましたが、後の祭りですね。 荷物軽くするために、リュック1つで行ったのが間違いでした…。

技術書典7では、また50冊くらい刷ることにします。

お金の話

100冊製本して、約37,500円でした。 ばらまきたいので、1冊500円で頒布することにしました。

現状、BOOTHでの売上も含めて、なんとか損益分岐点に到達しました! お買上げ、ありがとうございます! Boostまでして下さる方もいらっしゃって、非常にありがたいことです。

今回は、赤字にさえならなければ勝ちなので、満足です!

今後について

HTML版は、適宜更新していこうと考えています。 時間不足でバッサリ切ってしまった部分が残っているので、そちらの加筆も行う予定です。 組版はぼちぼち手間がかかるので、PDF版および紙版の更新は余裕があれば、やります。

読者の皆様からフィードバックがあれば、加筆修正する大きなモチベーションになるため、フィードバックをお待ちしております。