子育てという不確実性に対処するために、自分という不確実性を減らしておこう!

子育てエンジニア Advent Calendar 2018 17日目の記事です。

adventar.org

私は、1歳8か月の息子がいます。

はじめに

皆様ご存知かと思いますが、今年、素晴らしい本が発売されました。

この本のChapter 1では、エンジニアリングの意味を定義しており、次のように書かれています。

「曖昧さ」を減らし、「具体性・明確さ」を増やす行為が「エンジニアリングとは何か」という答えでもあるのです。

つまり、不確実性を減らす、ということがエンジニアリングである、ということをおっしゃっています。 私は、この考え方に衝撃を覚えました。これまで漠然と考えていたことを端的に表しており、「確かに!」となったからです。

皆さん、子育て、不確実性の塊 ですよね。

  • お出かけ先でノロウィルスをもらってきて、1週間、一家全滅したり
  • 一口食べるごとにスプーンを投げ捨てる遅延行為に手を染められたり
  • お昼寝したからパソコンだ!と思ったら30分経たずに起きてきたり

全てを受け入れ、流れに身を任せる、というのも1つの手ですが、エンジニアなのでエンジニアリングします! ただし、可愛い我が子 モンスター をエンジニアリングすることは難しいので、できることをやります。

エンジニアリング組織論への招待には、不確実性の発生源として、2つのことが挙げられています。すなわち、「未来」と「他人」です。 私は本記事で、あえてもう1つの要素に言及します。つまり、「自分自身ってそんなに自明ですか?」 ということです。

自分の中の不確実性

自分自身のことなのに説明できない、ということ、ありませんか? 例えば、

  • もっと1つのことを集中してやりたいのに、興味が広がってしまう…
  • もっと社交的に話したいのにできない
  • 斬新な発想を思いつくのが苦手
  • コツコツやるのが苦手
  • 人の想いに共感できない
  • 合理的な選択ができない
  • 臨機応変な対応ができない
  • 計画をスケジュールに沿って遂行できない

などなど。 子育て中は、自分の思い通りに物事を進めるのが難しいのも相まって、ストレスや不安を貯めてしまうこともあるかと思います。 モンスター可愛い我が子に、できる範囲で余裕をもって接するために、自己理解を深めておくことが役に立つ、というのが本記事の趣旨です。

もちろん、普段の会社での人間関係や仕事でも同様ですね。

逆に自分が得意なことの根拠を説明することも難しいと思います。

  • 毎日規則正しく生活するのが好きだ
  • ギリギリで一気にやるとテンション上がる!
  • ついつい新しいことを始めてしまう
  • 効率的に物事を進めるのが好きだ

自己理解を深めて、子育てに活かしましょう。

やっててよかった自己理解メソッド

人生において、ラッキーなことはあるもので、私にとっては、子育ての前にMBTIに出会い、継続的にフィードバックを受ける機会があったことです。 MBTIを受けよう、ではなく、自己理解を深める活動をしましょう、という趣旨ですので、手段はMBTIでなくとも良いと考えています。 ただし、表層化する行動を見るタイプの検査ではなく、自身のキャラクター(心の動き)を説明できるメソッドがおすすめです。 どういう行動をしたか(what)ではなく、なぜその行動をしたか(why)が大切です。

エンジニアリングという話題に再度紐づけておくと、スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学の中でも、技術リーダーシップのために、MBTIのような検査を受けることが有効である、と書かれています。子育てにも有効ですよ!

MBTIでの検査に興味を持たれた方は、カウンセリング資格を持つカウンセラーからのフィードバックを受けることを強くお勧めします。Web上で、簡易な診断や、アニメキャラクターに紐づけて面白おかしく紹介しているものもありますが、自身の心の動きを理解するためのもので、外側から見た行動にラベルを貼るためのものではありません。

MBTIの簡単な紹介

MBTIでは、4つの指標に基づいて、自己のタイプを理解します。 それぞれの指標で、2極に分かれます。

EI指標

どこに関心を向けることを好むか。どこからエネルギーを得るか?

外向 (E):人との関わりや興味を広げる。話すことが好き。

内向 (I):興味や人間関係を掘り下げる。書くことをより好む

SN指標

どのように情報を取り入れることを好むか?

感覚機能 (S):事実実際。経験を信用する。具体的に考えることを好む。

直観機能 (N):可能性にチャージする。直観やひらめいたことを信頼する。パターンを把握する。抽象的に考えることを好む。

TF指標

どのように結論を導くことを好むか?

思考 (T):原因と結果から客観的に合理性があることを大切にする。公平であることを望む。

感情 (F):自分や他者にとって大切なことを考慮に入れる。

JP指標

判断的態度 (J):スケジュールにそって、規則正しく行動する。計画をたてる。

知覚的態度 (P):状況に応じて、臨機応変に行動する。変更の余地を残しておき、最後に一気にやるとドライブがかかる。

2極のうち、どちらかが良い、とかいう話ではありません。 また、指向しているタイプを利き手と表現しており、もう一方のタイプも利き手でないけど使えたり、訓練することで発達を促せる、としています。 あなたが得意なことは利き手かもしれません。苦手なことは、利き手でない手(私は右利きですので、以下左手、とします。)を使っているだけかもしれません。 利き手でない手で文字を書こうとしても、うまくできませんよね?

私は、ESTJをベストフィットタイプとして選択しています。 このタイプは、計画を立てて、組織を作り、経験と体系的な知識に基づいて、効率的に物事を遂行することが得意です。逆に、人の気持ちを考えたり、臨機応変に動くのは苦手です。 今はスラスラと自身の特徴を述べることができるようになりました。自己理解メソッドの本領は、普段なんとなく感じていることの言語化だと思います。

で、子育てにどう役立つの?

役に立つ、という言葉が響かない方は、より子供やパートナーを大切にできるかもしれない、と思って下さい。

利き手を使う時間を作ることで心安らかになれます。また、左手を使っていることが意識できると、「自分は今、苦手なことを頑張っている!」という認識になり、うまくできていなくても、落ち込んだり不安になることが少なくなります(なくなりはしないですよ?でも少なくなるだけでうれしいですよね)。

私のESTJというタイプは、子育ての際に、左手を使うことを求められがちです。

E:興味を広げる ⇒ 勉強会とかちょっと行きにくくなって、興味を広げにくい。家族のことに集中するのも苦手。
S:経験や知識を信用する ⇒ 経験ないし!体系的知識が確立しているわけでもない!
T:合理的なの好き! ⇒ モンスターに合理性なし!
J:計画通りいくと気持ちいい! ⇒ 無理ゲー

ということで、下手をすると一日中左手を使って生活することを求められるわけです。ストレスがマッハです。髪の毛がなくなります。特に、「計画を立てて、遂行する」ができないのはツラいです。仕事でなくても計画立ててやるタイプの人間です。

では、どうすれば良いのでしょうか?

まず、利き手を使う機会を増やしましょう。あなたが得意なことは何でしょうか?子供を大切に想うことかもしれませんし、保育園で他のパパママと会話して情報を得ることかもしれません。その時々で斬新なアイデアを閃いて実行することかもしれませんし、臨機応変に対応することかもしれません。

私の場合、規則正しく、効率的に物事を遂行するのが得意です。私の典型的な平日のタイムスケジュールを示します。これを見るとウゲーって思う方もいらっしゃると思いますが、こうするべき、ということを言いたいのではなく、私はこういうスケジュールを考えてその通り動くと心地が良いのです。

時間 行動
5:00 起床
5:00 - 5:30 お弁当作り、朝食準備
5:30 - 6:00 妻、息子と朝食、コーヒー、歯磨き
6:00 - 6:30 食器洗い(食洗器)、息子の着替え、自分の身支度
6:30 - 6:45 息子の連絡帳記入、鼻水吸引
6:48 出勤(通勤ラッシュで体力を減らさないため、勤務時間を前倒し)
6:56 - 7:10 混雑する路線なのでポッドキャスト
7:15 - 7:40 すいている路線なので読書
7:40 - 7:50 会社まで歩く時間、ポッドキャスト
8:00 - 16:45 仕事
17:04 - 17:48 すいている路線は読書、混雑する路線はtwitterなど
17:48 - 18:00 近所のスーパーでちょっと買い物&帰宅
18:00 - 18:15 おやつ&洗濯たたむ
18:15 - 19:00 息子とお風呂、寝る前の準備
19:00 - 19:30 息子の寝かしつけ
19:30 - 20:30 妻と食事、後片付け、寝支度など
20:30 - 眠くなるまでプログラミング、技術記事執筆など。最低15分やる
22:00 遅くてもこの時間には就寝。早いときは21:00に寝ることも。

いやー!とても最適化されていて素晴らしいと思いませんか?朝は、各工程で5分もずれないです(たまにうんち2回されるのが最大の不確実性)。 ちなみに、このスケジュールを書いている間、私のテンションはMAXでした!(仕事のときは人に押し付けないように気を付けています。得意で好きなので、他人に求めがちなんですよね) まず、このスケジュール通り動くことで、平日の心の安寧を得られるわけです。残業?スケジュールが崩れるのは許されないので、致しません!

さて、もう1つ重要なことがあります。左手を使っていることを意識下に置くことです。左手を使っているので、利き手ほどうまくはできません。ただ、自分が左手を使っている状態なんだ、と認識するだけで、ずいぶん違ってきます。

私の指向するタイプは、人を公平に扱う傾向にあります。また、人の気持ちを優先して行動するのは、合理的な判断を下すことより難しいです。この結果、妻や息子であっても、目に見えて特別、という感覚があまりありません(捕捉するとMBTIでフィードバックを受けて、初めて自覚しました)。少し前にテレビで、「自分は子供への愛情が薄いのではないか?」と悩んでいる方がいらっしゃいました。行動パターンに私に似たものを感じたので、あのテレビに出演されていた方も、例え自分の子供であっても、誰かを特別扱いすることは、左手を使うことかもしれません。

普段は特別扱いしませんが、ふと、「やはり自分の息子が一番かわいいなぁ」と思うことがあるわけです。そういう些細なことに、「ちゃんと息子を愛する気持ちがあるなぁエラい!」、となるわけです。中には、「それだけ!?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私にとって、1~2回楽しくおしゃべりできた人と、数年に渡り交友のある友達、との間にはほとんど差がありません。だいたい一緒です。ですので、ふとした瞬間でも、「へ~い You are No.1!」となるのは特別なことなのです。ただ、自分が自然体でいるとそういう考えになりがちということを知らないと、自分はちゃんと愛情を持てていないのでは?となってしまうわけです。そんなことないですよ!きっと!

苦手だからと言って、言い訳に使いたいわけではありません。あえて左手を使って行動してみる、ということも試しています。少し座りは悪いですが、日常生活で計画をあまり立てなくなりました。計画を立てると、その通り行かないときにストレスで苦しんでしまいます。 そのうち両利きになれるとよいなぁ、と願いながら、今日も子育てを楽しんでいます。

まとめ

  • 子育ては不確実性の塊
  • 自分自身をエンジニアリングして、不確実性を減らそう!
  • 自分自身をエンジニアリングする方法の1つとして自己理解メソッドを試してみよう!