7/27(土) 技書博で組込み/ベアメタルRustクックブックを販売します!
はじめに
宣伝です!
来週開催される技術書同人誌博覧会にて、組込み/ベアメタルRustクックブックを販売します。 A-9 AQUAXISさんのブースにご一緒させて頂きます。 ブース主の石原ひでみさんはFPGAの薄い本とMarkdown組版の本を、みつきんさんはNuttxの本を頒布されます。
販売情報
価格は、500円です。 PDF版とHTML版がデフォルトで含まれます。 当日の会場にてお買い上げいただくと、先着で100名様に、紙媒体をお渡しします。 1冊のご購入につき、紙媒体を1冊まで、お渡しします。
当日お越し頂けなかった方にも、後日何らかの形でPDF版とHTML版が入手できる手段を用意します。
目次は、次の通りで、表紙込で78ページです。
- はじめに
- 環境構築
- ベアメタルテクニック
- no_std
- panic
- print!マクロ
- リンカ
- アセンブリ
- メモリアロケータ
- entryポイント
- ツール
- Cargo
- コンパイラサポート
- rustc
- ライブラリ / フレームワーク
- heapless
- no_stdクレート
- svd2rust
- RTFM
- Tock
- testing
- FFI
- RustからCを呼ぶ
- CからRustを呼ぶ
- ケーススタディ Zephyr
- 組込みLinux
- ビルド/テスト
- Yocto
- あとがき
正直なところ、HTML版が一番見やすいので、HTML版に500円払う気持ちで購入して頂けると嬉しいです。
ところで
100イイねついたから、100部刷ったので、買って下さいね!(切実)
組込み / ベアメタルRustクックブック
— 錆ありはぐれベアメタル (@LDScell) June 29, 2019
目次はこんな感じで80ページくらい。
わからんけど、紙媒体1000円くらい?
初同人誌なのでクオリティはお察し。
7/27(土)技術書博覧会で販売予定。
買ってあげても良いよ、という方はイイね下さい。
印刷部数の参考にします。 pic.twitter.com/5U3NEQhMD3
LLVM IRファイルを読み込む
はじめに
ファイルに出力されたLLVM IRをC++で読み込んで遊んでみます。
環境
$ clang++ --version clang version 8.0.1-svn360950-1~exp1~20190517004233.70 (branches/release_80) Target: x86_64-pc-linux-gnu Thread model: posix InstalledDir: /usr/bin
$ llvm-config --cxxflags --ldflags --system-libs --libs core -I/usr/lib/llvm-8/include -std=c++11 -fno-exceptions -D_GNU_SOURCE -D__STDC_CONSTANT_MACROS -D__STDC_FORMAT_MACROS -D__STDC_LIMIT_MACROS -L/usr/lib/llvm-8/lib -lLLVM-8
LLVM IRファイルの読み込み
アプリケーションの引数にLLVM IRファイルパスを指定する想定です。
#include <llvm/IR/LLVMContext.h> #include <llvm/IR/Module.h> #include <llvm/IRReader/IRReader.h> #include <llvm/Support/SourceMgr.h> int main(int argc, char** argv) { if (argc < 2) { llvm::errs() << "Expected an argument - IR file name\n"; exit(1); } llvm::LLVMContext Context; llvm::SMDiagnostic Err; auto module = llvm::parseIRFile(argv[1], Err, Context); if (!module) { Err.print(argv[0], llvm::errs()); return 1; } return 0; }
llvm::parseIRFile
に、ファイルパスを与えるだけで、llvm::Module
(のunique_ptr) を得ることができます。
下のコマンドでLLVM IRファイルが読み込めます。
clang++ main.cpp `llvm-config --cxxflags --ldflags --system-libs --libs core` -o ir_reader ./ir_reader main.ll
少し内部を覗く
main.ll
にはmain
関数があり、いくつか命令があります。
そのオペコードを表示してみます。
次のようなコードで実現できました。
auto func = module->getFunction("main"); std::cout << "function name: " << func->getName().data() << std::endl; for (auto &bb: *func) { auto i = 0; for (auto &instr: bb) { std::cout << "%" << i << ": " << instr.getOpcodeName() << std::endl; i++; } }
$ ./ir_reader main.ll function name: main %0: alloca %1: bitcast %2: call %3: getelementptr %4: load %5: call %6: ret
お手軽ですね!
Rust × 組込みで前代未聞のInterfaceオフ会レポート
はじめに
昨日、2019年6月17日、巣鴨のCQ出版社様セミナールームにおいて記念すべき組込みRustのオフ会が開催されました! 今回のオフ会は、雑誌掲載前にオフ会を開催する、という前代未聞のオフ会、とのことでした。
非常に盛り上がったオフ会になったので、そのレポートです。
プレゼン
1. 組込みRustのすゝめ
— 錆ありはぐれベアメタル (@LDScell) 2019年6月17日
2. PC上でRustドライバ開発
3. Rustで組込みOS自作
4. モダンマイコンOS Nuttxでlibstdを動かす#Ifcqmeetup
さらに、LTとして2つの発表がありました。
- M5StackでRust
- Rustファームウェア搭載の自作キーボード
組込みRustのすゝめ
まず、私から導入のお話をさせていただきました。
最初に会場内でアンケートを取ったところ、
- まだRustをやったことがない、が半分ほど
- 入門はした、はまさの0人
- 組込み以外でRustをやっている、が2割弱
- 組込みRustをやっている、が3割弱
といった感じでした。 知らない人か、プロしかいない!という両極端な結果が印象的でした。
導入と言いつつ、所有権システムの説明を少し入れており、ここの部分はRust知らない方々にどの程度理解して頂けたか、が気になっています。
Rustでチョット気軽にセンサドライバ開発
@ryochack さんからホストPC上で組込みセンサドライバ開発を行う発表です。
「いつまで僕らはC/C++を使い続けなければならないのか…」
全くその通りです!
発表内容は、下のデバイスを使って、PC上で直接Rustのセンサドライバを開発し、マイコンに持っていけるようにしよう!というものでした。
MPSSEのOSS実装、libmpsseからbindgenを使って、Rustバインディングを生成しています。 その時のラッパ作成の苦労話が、涙なしでは語れません。
お行儀の悪いCのコード!
— 錆ありはぐれベアメタル (@LDScell) 2019年6月17日
ちゃんとconstを付けないとbindingを作りにくので、Cのコードもちゃんと作ろう!#Ifcqmeetup
デモされていたもののレポジトリは、こちらです。
Rustで始める自作組込みOS
@garasubo さんから、組込みOSを自作したお話しです。
RustでOSを作る際の良かった話や、苦労話が生々しい発表でした! ライフタイムやテストフレームワークなど、良かった点もありますが、データ構造の実装が難しい、クレートが不足している、という課題もあります。
自作OSをRustで開発すべきか
— 錆ありはぐれベアメタル (@LDScell) 2019年6月17日
メリットは大きいが、発展途上なので、リスクも大きい。#Ifcqmeetup
自作OSのレポジトリは、こちらです。
Nuttxでlibstdを動かす
杉野さんから、POSIX likeな組込みOSであるNuttxでlibstdを動かした発表です。 今のところ、資料公開はされていません。
茨の道をひたすら突き進むような発表を前に、参加者一同、「これはツラすぎないか…」みたいな空気になっていましたが、ある程度動くようになっていて、圧巻の内容でした!
Rustの安全性や利便性を最大限享受するためにlibstdを使いたい、というのは組込みRustやっている人が共通で持っている望みだと思います。 リンカのバグを踏んだり、OS側にAPIが不足していたり、OS側とRust側とで構造体のメンバが違ったり、と数々の難関をくぐり抜け、動いた先は--。
M5 StackをRustで動かすまで
@ciniml さんから、ESP32上でRustを動かすようにするまでに試したことの発表です。
www.slideshare.net
Rust (というかLLVM) は公式にXtensaに対応していないため、LLVMのforkを使ってrustcのXtensa対応を行われていました。 ESP-IDF側のmalloc/freeをGlobalAllocでラップして、libcoreの機能を使えるようにしていました。
@ryochackさんと同様に、bindgenを使用されており、その苦労話もありました。
embedded_graphicsクレートを使って、画像を描画することまでできていて、次はWi-Fiを動かしたい、とのことです!
Rustで書いたファームウェアが乗った自作キーボードのデモ
@KOBA789 さんからキーボード自作のインターン向けに作成したRustファームウェア搭載の自作キーボードについてデモがありました。
【オフ会】
— コンピュータ技術実験雑誌「Interface」(毎月25日発売) (@If_CQ) June 17, 2019
デモ:Rustで自作キーボードのデモ
クックパッド開発者ブログってところで
クックMyパッド的に紹介されているらしい#ifcqmeetup pic.twitter.com/q0ulROP6iI
会社での無茶ぶり?から産まれたようです。 ステートマシン実装時、ステートが移るときにデータを引き継ぐところに苦労された、ということでした。
懇親会
組込みRustをやっている者同士のぶっちゃけトークが楽しかったです。
身代わりパターンめっちゃ使うよね〜、とかunsafe
使いたくないんだけど、やりたいことができなくてツラい、などなど。
組込みRustでまだまだ不足している部分や、課題もありますが、やらないといつまで経っても使えるようにならないから、やる!という認識が共有されたのも、個人的には非常に嬉しかったです。
まだRustを触っていない方々から、実際のところどーなの?的な質問にも正直な回答をさせていただきました。
告知
まさかの記事やってないのに
— コンピュータ実験雑誌の編集ラームー (@if_CQ_naka) 2019年6月17日
「ポインタが使えるモダンC++風言語Rust×組み込みの研究」
のオフ会やっちゃったので
逆順で特集執筆者会議やります
興味がある方はご連絡ください
あと新たな試みなので至らないところがあったら許してください#ifcqmeetup pic.twitter.com/WjUsqKWYoM
WebAssembly Micro RuntimeでRustアプリをマイコンで動かす!
はじめに
前回、もう一歩のところだったのですが、RAMが2MB搭載されていないと動かない状態でした。
tomo-wait-for-it-yuki.hatenablog.com
私はそんなマイコン持っていないため、今回は、256KB RAMが搭載されているマイコン (これも高性能品ですが) 上でRustアプリを動作させます。
問題点
データセグメントが0x100000番地に配置されていることが問題でした。
$ wasm-objdump -x target/wasm32-unknown-unknown/release/hello_wasm.wasm ... Data[1]: - segment[0] size=16 - init i32=1048576 - 0100000: 4865 6c6c 6f20 6672 6f6d 2052 7573 7400 Hello from Rust.
リンカオプションによる解決
調べていると、次のissueに行き当たりました。
The large memory size here is because we default to asking LLD to allocate a 1MB stack for all Rust binaries. If you'd like to reduce that though you can pass -C link-arg=-zstack-size=16 to rustc, for an appropriate stack size for your application. That should allow you to shrink quite a bit!
LLDにスタックを1MB割り当てるようなデフォルトになっており、このサイズを減らせば良い、ということでした。
ということで、リンカにオプションを与えます。
|> .cargo/config
[target.wasm32-unknown-unknown] rustflags = [ "-C", "link-arg=-zstack-size=16" ]
ビルドします。
$ cargo build --target=wasm32-unknown-unknown --release $ wasm-strip target/wasm32-unknown-unknown/release/hello_wasm.wasm
中身を確認してみましょう。
$ wasm-objdump -x target/wasm32-unknown-unknown/release/hello_wasm.wasm hello_wasm.wasm: file format wasm 0x1 Section Details: Type[3]: - type[0] (i32, i32) -> i32 - type[1] () -> nil - type[2] () -> i32 ... Code[2]: - func[1] size=2 - func[2] size=16 <main> Data[1]: - segment[0] size=16 - init i32=16 - 0000010: 4865 6c6c 6f20 6672 6f6d 2052 7573 7400 Hello from Rust.
これでデータセグメントが0x10 (16) から置かれるようになりました。
QEMUでの動作確認
実機で試す前に、QEMUを使って、RAM 64KB搭載のCortex-M3をターゲットにして、動作確認します。 (無理矢理動かすために、WebAssembly Micro Runtimeのページサイズを4KBにしています)
$ ninja run [0/1] To exit from QEMU enter: 'CTRL+a, x'[QEMU] CPU: cortex-m3 qemu-system-arm: warning: nic stellaris_enet.0 has no peer ***** Booting Zephyr OS zephyr-v1.14.0 ***** Hello from Rust
よし!
実機動作
手元に偶然あるnRF52840-DKで動かしてみます。 RAMも256KBあるので、なんとかなるはずです。
$ mkdir nrf52840 && cd $_ $ cmake -GNinja -DBOARD=nrf52840_pca10056 .. $ ninja [10/14] Linking C executable zephyr/zephyr_prebuilt.elf Memory region Used Size Region Size %age Used FLASH: 76436 B 1 MB 7.29% SRAM: 144328 B 256 KB 55.06% IDT_LIST: 56 B 2 KB 2.73% [14/14] Linking C executable zephyr/zephyr.elf
ビルドはOKです。
minicomでUARTを受信できるようにして、ファームウェアを書き込みます。
ninja flash
Welcome to minicom 2.7.1 OPTIONS: I18n Compiled on Aug 13 2017, 15:25:34. Port /dev/ttyUSB0, 20:35:14 Press CTRL-A Z for help on special keys ***** Booting Zephyr OS zephyr-v1.14.0 ***** Hello from Rust
OK! 無事動きました!
WebAssembly Micro Runtimeの方は、次の通りです。
|> src/main.c
// デフォルトの512 KBでは実機のRAM 256KBに入らないため static char global_heap_buf[128 * 1024] = { 0 };
|> iwasm/runtime/vmcore-wasm/wasm.h
// WASMは1ページ64KBとのことなので4KBから元に戻しています #define NumBytesPerPage 65536 #define NumBytesPerPageLog2 16
WebAssembly Micro RuntimeでRustのアプリを動かす!
はじめに
WebAssembly Micro Runtimeでは、64KB程度のRAMが搭載されたマイコンであれば、wasmアプリケーションを動かすことができます。
Rustはwasmをターゲットにビルドできます。
後は、わかるね?
アプリケーションの作り方
WebAssembly Micro Runtimeのサンプルコードを修正します。 下のようにおもむろにwasmのバイナリが埋め込まれているので、これを自作のバイナリに差し替えます。
|> src/test_wasm.h
unsigned char wasm_test_file[] = { 0x00, 0x61, 0x73, 0x6D, 0x01, 0x00, 0x00, 0x00, 0x00, 0x0D, 0x06, 0x64, 0x79, 0x6C, 0x69, 0x6E, 0x6B, 0xC0, 0x80, 0x04, 0x04, 0x00, 0x00, 0x01, 0x13, 0x04, 0x60, 0x01, 0x7F, 0x00, 0x60, // ... 0x70, 0x69, 0x6E, 0x67, 0x55, 0x52, 0x4C, 0x0E, 0x61, 0x2E, 0x6F, 0x75, 0x74, 0x2E, 0x77, 0x61, 0x73, 0x6D, 0x2E, 0x6D, 0x61, 0x70 };
将来的にはよりスマートな方法が必要ですが、当面は良いでしょう。
Rustツールチェイン
wasm
のターゲットをインストールするだけです。
rustup target add wasm32-unknown-unknown
wasmバイナリ作成
cargo new hello_wasm --lib
|> Cargo.toml
[package] name = "hello_wasm" version = "0.1.0" authors = ["tomoyuki-nakabayashi <tomo.wait.for.it.yuki@gmail.com>"] edition = "2018" [dependencies] cty = "0.2.0" [lib] crate-type = ["cdylib"]
crate-typeはcdylib
になるようです。
wasmバイナリのサイズを小さくするために、#![no_std]
アトリビュートを使用するため、std
のC言語の型定義が使えません。
そこで、cty
クレートを使って、C言語の型を表現します。
WebAssembly Micro Runtimeの方でprintf
のbindingが用意されている(要確認)ので、一旦FFIを手動で用意して、呼び出します。
|> src/lib.rs
#![no_std] use cty; extern "C" { pub fn printf(fmt: *const cty::c_char, ...) -> cty::c_int; } #[no_mangle] pub extern "C" fn main() -> i32 { unsafe { printf(b"Hello from Rust\0".as_ptr() as *const cty::c_char) } } use core::panic::PanicInfo; #[panic_handler] #[no_mangle] pub extern "C" fn panic(_: &PanicInfo) -> ! { loop {} }
cargo build --target wasm32-unknown-unknown --release
この時点で約300バイトと十分に小さいですが、念の為、wasm-strip
を使ってさらにバイナリを小さくします。
$ ls -lha target/wasm32-unknown-unknown/release/ -rwxr-xr-x 2 tomoyuki tomoyuki 306 Jun 15 14:12 hello_wasm.wasm
wasm-strip target/wasm32-unknown-unknown/release/hello_wasm.wasm
strip後のサイズです。180バイトまで小さくなります。
$ ls -lha target/wasm32-unknown-unknown/release/ -rwxr-xr-x 2 tomoyuki tomoyuki 180 Jun 15 14:13 hello_wasm.wasm
wasm-objdump
を使って逆アセンブルすると、次のような感じです。
$ wasm-objdump -x target/wasm32-unknown-unknown/release/hello_wasm.wasm hello_wasm.wasm: file format wasm 0x1 Section Details: Type[3]: - type[0] (i32, i32) -> i32 - type[1] () -> nil - type[2] () -> i32 Import[1]: - func[0] sig=0 <env.printf> <- env.printf Function[2]: - func[1] sig=1 - func[2] sig=2 <main> Table[1]: - table[0] type=funcref initial=1 max=1 Memory[1]: - memory[0] pages: initial=17 Global[3]: - global[0] i32 mutable=1 - init i32=1048576 - global[1] i32 mutable=0 <__heap_base> - init i32=1048592 - global[2] i32 mutable=0 <__data_end> - init i32=1048592 Export[4]: - memory[0] -> "memory" - global[1] -> "__heap_base" - global[2] -> "__data_end" - func[2] <main> -> "main" Code[2]: - func[1] size=2 - func[2] size=16 <main> Data[1]: - segment[0] size=16 - init i32=1048576 - 0100000: 4865 6c6c 6f20 6672 6f6d 2052 7573 7400 Hello from Rust.
hexdump
を使って、適当にC言語に埋め込める形式を出力します。
$ hexdump wasm.wasm -e '16/1 "0x%02x, "' -e '"\n"' 0x00, 0x61, 0x73, 0x6d, 0x01, 0x00, 0x00, 0x00, 0x01, 0x0e, 0x03, 0x60, 0x02, 0x7f, 0x7f, 0x01, 0x7f, 0x60, 0x00, 0x00, 0x60, 0x00, 0x01, 0x7f, 0x02, 0x0e, 0x01, 0x03, 0x65, 0x6e, 0x76, 0x06, ...
これを、WebAssembly Micro Runtimeのサンプルコードに埋め込みます。
|> src/test_wasm.h
unsigned char wasm_test_file[] = { 0x00, 0x61, 0x73, 0x6d, 0x01, 0x00, 0x00, 0x00, 0x01, 0x0e, 0x03, 0x60, 0x02, 0x7f, 0x7f, 0x01, 0x7f, 0x60, 0x00, 0x00, 0x60, 0x00, 0x01, 0x7f, 0x02, 0x0e, 0x01, 0x03, 0x65, 0x6e, 0x76, 0x06, // ... };
実行
qemu_x86をターゲットに実行します。 OSはZephyrです。
$ ninja run SeaBIOS (version rel-1.12.0-0-ga698c8995f-prebuilt.qemu.org) Booting from ROM..***** Booting Zephyr OS zephyr-v1.14.0 ***** Hello from Rust
無事動きました! と言いたいところですが、少しごまかしが入っています。
data segmentの置き場所問題
どうもRustでwasmをターゲットにビルドすると、データセグメントが0x10_0000
(1MB)から始まる領域に置かれるようです。
$ wasm-objdump -x target/wasm32-unknown-unknown/release/hello_wasm.wasm ... Data[1]: - segment[0] size=16 - init i32=1048576 - 0100000: 4865 6c6c 6f20 6672 6f6d 2052 7573 7400 Hello from Rust.
一方(?)、サンプルアプリケーションの方では、wasm用のヒープ領域を512KB確保しています。
|> src/main.c
static char global_heap_buf[512 * 1024] = { 0 };
この状態でアプリケーションを実行するとメモリ確保が失敗します。
Booting from ROM..***** Booting Zephyr OS zephyr-v1.14.0 ***** Instantiate memory failed: allocate memory failed.
どうもランタイムでは、データセグメントも含めて1つのメモリ領域に割り当てているように見えます。
データセグメントが1MBから始まるので、ヒープ領域を2MB確保すると、上述の通り、アプリケーションが動作します。
intelさんとこは8MBもRAMが載っていてようござんすねぇ
|> src/main.c
static char global_heap_buf[2048 * 1024] = { 0 };
ということで、後は、Rustでサンプルアプリケーションをビルドする際にデータセグメントのアドレスを指定できれば、 64KB程度のRAMが載ったマイコンボードで動きそうです!
WebAssembly Micro Runtimeお試し②
はじめに
少し前に、組込みで使えるWebAssembly Micro Runtimeが公開されました。 また、いつの間にかSTMでのデモアプリが公開されています。
リファレンスが普段触っているZephyrなので、少し動かしてみます。
前回のおさらい
試しに、qemu_cortex_m3をターゲットにビルドすると、RAM不足でビルドが失敗していました。
$ cmake -GNinja -DBOARD=qemu_cortex_m3 .. $ ninja run Memory region Used Size Region Size %age Used FLASH: 69112 B 256 KB 26.36% SRAM: 535984 B 64 KB 817.85% IDT_LIST: 120 B 2 KB 5.86/opt/zephyr-sdk/arm-zephyr-eabi/bin/../lib/gcc/arm-zephyr-eabi/8.3.0/../../../../arm-zephyr-eabi/bin/ld: zephyr/zephyr_prebuilt.elf section `bss' will not fit in region `SRAM' /opt/zephyr-sdk/arm-zephyr-eabi/bin/../lib/gcc/arm-zephyr-eabi/8.3.0/../../../../arm-zephyr-eabi/bin/ld: section .intList VMA [0000000020010000,0000000020010077] overlaps section bss VMA [0000000020000000,0000000020080354] /opt/zephyr-sdk/arm-zephyr-eabi/bin/../lib/gcc/arm-zephyr-eabi/8.3.0/../../../../arm-zephyr-eabi/bin/ld: region `SRAM' overflowed by 470448 bytes collect2: error: ld returned 1 exit status % ninja: build stopped: subcommand failed.
64KBくらいRAMがあれば動いて欲しいところなので、なんとか動かせないか試してみます。
利用RAMサイズを減らす
twitterで@nodamushiさんがヒントをくれました。
ば、倍プッシュは冗談ですからねっ!?ざわ…ざわ…
— nodamushi (@nodamushi) 2019年6月13日
私の所為で余計な調査をさせてしまったのなら申し訳ない。でも待ってます(オイ
15分程ざっくり眺めてみた限りですが、メモリのページが64KB単位になってるぽいです。つまり、128KBって2ページになりますね。0ページ目はVM専用とかと予想(?)
|> core/iwasm/runtime/vmcore-wasm/wasm.h
#define MaxMemoryPages 65536 #define MaxTableElems UINT32_MAX #define NumBytesPerPage 65536 #define NumBytesPerPageLog2 16 #define MaxReturnValues 16
wasmに詳しくないので、ページの概念が何を表現しているのかわかりませんが、とりあえず1ページ4KBくらいでよくない?ということで、定義を修正します。
#define NumBytesPerPage 4096 #define NumBytesPerPageLog2 12
main.c
で確保されるヒープサイズを32KBにします。
|> core/iwasm/products/zephyr/simple/src/main.c
static char global_heap_buf[32 * 1024] = { 0 };
$ ninja run [9/14] Linking C executable zephyr/zephyr_prebuilt.elf Memory region Used Size Region Size %age Used FLASH: 69112 B 256 KB 26.36% SRAM: 44464 B 64 KB 67.85% IDT_LIST: 120 B 2 KB 5.86% [13/14] To exit from QEMU enter: 'CTRL+a, x'[QEMU] CPU: cortex-m3 qemu-system-arm: warning: nic stellaris_enet.0 has no peer ***** Booting Zephyr OS zephyr-v1.14.0 ***** Hello world! buf ptr: 0x40000178 buf: 1234
お、動きますね! OS、アプリケーションとラインタイム合わせて、RAMの使用量は44KBくらいです。
ちなみに、global_heap_buf
は26KBまで小さくしても動作します。
25KBからはRuntimeのインスタンス化に失敗します。
Runtimeに最低でも26KB程度は必要、ということでしょう。
memory_usage.txtに、RAM利用量について、次の記述がありました。
Current memory usage, take samples/littlevgl in Zephyr for example: (1) WASM app binary: 142K for littlevgl ui_app.wasm (2) WASM app memory space: 64K for littlevgl ui_app.wasm (3) WASM app heap space: 8K by default (4) WASM app thread native stack: 4K by default (5) WASM interpreter stack: 8K by default (6) WASM block address hash cache: 3K (7) timer thread stack: 4K (8) sensor thread stack: 4K (9) touch screen thread stack: 4K (10) others: vm, app mgr, queue, native lib: ~22K Total memory usage: ~263K
(10) others: vm, app mgr, queue, native lib: ~22K
となっているので、プラスαで何かがあって、26KBが最低ライン、というのは有り得そうです。
次回以降で、もう少し詳しく内部を見ていきましょう。
WebAssembly Micro Runtimeお試し①
はじめに
少し前に、組込みで使えるWebAssembly Micro Runtimeが公開されました。 また、いつの間にかSTMでのデモアプリが公開されています。
リファレンスが普段触っているZephyrなので、少し動かしてみます。
準備
ライブラリをインストールします。
sudo apt install lib32gcc-5-dev g++-multilib
ソースコードをビルドします。
git clone https://github.com/intel/wasm-micro-runtime.git cd wasm-micro-runtime/core/iwasm/products/linux/ cmake make
iwasm
というバイナリができました。
$ ls CMakeCache.txt cmake_install.cmake libiwasm.so Makefile CMakeFiles iwasm libvmlib.a
Zephyrで起動してみましょう。
cd core/iwasm/products/zephyr/simple source <zephyr>/zephyr-env.sh ln -s ../../../ iwasm ln -s ../../../../shared-lib shared-lib mkdir build && cd $_ cmake -GNinja -DBOARD=qemu_x86 ..
<iwasm_dir>
はcore/iwasm
ディレクトリです。
<shared_lib_dir>
はwasm-micro-runtime/core/shared-lib
ディレクトリです。
実行します。
$ ninja run SeaBIOS (version rel-1.12.0-0-ga698c8995f-prebuilt.qemu.org) Booting from ROM..***** Booting Zephyr OS zephyr-v1.14.0 ***** Hello world! buf ptr: 0x40000180 buf: 1234
動くやん!お手軽ですねー。
次に、試しにqemu_cortex_m3にターゲットを移してみましょう。
$ cmake -GNinja -DBOARD=qemu_cortex_m3 .. $ ninja run Memory region Used Size Region Size %age Used FLASH: 69112 B 256 KB 26.36% SRAM: 535984 B 64 KB 817.85% IDT_LIST: 120 B 2 KB 5.86/opt/zephyr-sdk/arm-zephyr-eabi/bin/../lib/gcc/arm-zephyr-eabi/8.3.0/../../../../arm-zephyr-eabi/bin/ld: zephyr/zephyr_prebuilt.elf section `bss' will not fit in region `SRAM' /opt/zephyr-sdk/arm-zephyr-eabi/bin/../lib/gcc/arm-zephyr-eabi/8.3.0/../../../../arm-zephyr-eabi/bin/ld: section .intList VMA [0000000020010000,0000000020010077] overlaps section bss VMA [0000000020000000,0000000020080354] /opt/zephyr-sdk/arm-zephyr-eabi/bin/../lib/gcc/arm-zephyr-eabi/8.3.0/../../../../arm-zephyr-eabi/bin/ld: region `SRAM' overflowed by 470448 bytes collect2: error: ld returned 1 exit status % ninja: build stopped: subcommand failed.
SRAMのサイズが足りずにリンクで死んだ!!! なんでしょうこのSRAM使用量…。500KB超えてますが…。
STMのデモ
じゃあSTMで動いているデモは一体何なのでしょうか? ということで、デモアプリのREADMEを読んでみます。
|> wasm-micro-runtime/samples/littlevgl/README.md
Since ui_app incorporated LittlevGL source code, so it needs more RAM on the device to install the application. It is recommended that RAM SIZE greater than 512KB.
512KB以上のRAMが推奨環境! かなり高性能なマイコンを要求していますね…。
デモで使用しているマイコンもNUCLEO-F767ZI
という512KB RAMを搭載しているものですね…。
simple
デモアプリのソースコードを見る
希望を捨てずに、デモアプリで何をしているか、少し覗いてみましょう。 アプリで使うRAMサイズが減れば、動くかもしれないですし!
|> wasm-micro-runtime/core/iwasm/products/zephyr/simple/src/main.c
static char global_heap_buf[512 * 1024] = { 0 };
ん?きみぃ?何だいこの有無を言わさず512KB確保するstatic変数の定義は!
static char global_heap_buf[16 * 1024] = { 0 };
とりあえず、16KBくらいにしたろ。
$ ninja run [0/1] To exit from QEMU enter: 'CTRL+a, x'[QEMU] CPU: cortex-m3 qemu-system-arm: warning: nic stellaris_enet.0 has no peer ***** Booting Zephyr OS zephyr-v1.14.0 ***** Instantiate memory failed: allocate memory failed.
うん。QEMU起動まではいきましたが、ランタイムで落ちてます。
|> wasm-micro-runtime/core/iwasm/products/zephyr/simple/iwasm/runtime/vmcore-wasm/wasm_runtime.c
static WASMMemoryInstance* memory_instantiate(uint32 init_page_count, uint32 max_page_count, uint32 addr_data_size, uint32 global_data_size, uint32 heap_size, char *error_buf, uint32 error_buf_size) { WASMMemoryInstance *memory; uint32 total_size = offsetof(WASMMemoryInstance, base_addr) + NumBytesPerPage * init_page_count + addr_data_size + global_data_size; /* Allocate memory space, addr data and global data */ if (!(memory = wasm_malloc(total_size))) { set_error_buf(error_buf, error_buf_size, "Instantiate memory failed: allocate memory failed."); return NULL; }
この辺りかな? 少しデバッガで見ていますが、サクッと解決できなさそうなので、また次回。